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​浄化槽管理 NO2

浄化槽

浄化槽の管理

水しぶき

Ⅱ各機器による測定

透視度に合わせて水質の状況をさらに詳しく調べる為「pHメーター」、「DOメーター」、「汚泥界面測定」、「亜硝酸反応」、「残留塩素」などの計器を使用し、測定を行います。

① pHメーター(右側の機械)

pHメーターとは、水の酸性、塩基(アルカリ)性を測定する装置です。
すなわち、試料(処理水、放流水)が酸性であるか塩基(アルカリ)性であるかを計測し、処理工程が正しく行われているかを確認します。数値は1~14の間で変動し1に近い数値であれば酸性。14に近い数値であれば塩基(アルカリ)性。7を中心に5.8~8.6が中性となります。浄化槽内は基本的に7前後の数値で変動している状況が好ましい状態です。

pHメーター

 右側の機械 

② DOメーター(左側の機械)

DOメーターとは、水中にある酸素(溶存酸素)量を量る装置です。
このDOメーターは、ばっ気槽内(ばっ気槽とは槽の下方から多量の空気を送る事で、微生物に酸素を与え、かつ撹拌作用を得る槽です。)の水中にある酸素の量を計測します。これにより酸素が微生物に過不足なく供給され、かつ、消費されているか否かを計測します。

DOメーター

 DOを計測中 

③ 汚泥界面測定(左写真)

嫌気(脱窒)濾床槽1、2室と最終沈殿槽のスカム、汚泥の量を計測します。汚泥の溜まりによる清掃時期の測定と一度に大きな流入があり、スカム、汚泥が槽の後半に入っていないかを確認します。スカム、汚泥の量によって清掃時期が左右され、多ければ浄化槽の清掃が必要となります。

また、最終沈殿槽にスカムや汚泥が溜まりすぎると、放流先に汚泥が流出するおそれがあり、ひいては河川、環境の汚染原因になります。この為スカムや汚泥が多い場合は嫌気濾床槽1室に移送するか(右写真参照)、引き抜き清掃を行います。

汚泥界面測定中

 汚泥界面測定中 

汚泥移送

 汚泥移送 

④ 亜硝酸反応

ばっ気槽内でアンモニアを含む物質が微生物による反応により、硝酸性窒素や亜硝酸性窒素に変化しているかを確認するための測定です。この反応が起こる事によりpHが低下します。また、槽内に前述の嫌気→好気→嫌気という水の循環(返送)を作る事により脱窒(窒素の除去)反応を起こし、さらに汚水を浄化させる事が出来ます。(こちらの反応ではpHは逆に高くなります。)

亜硝酸反応

⑤ 残留塩素(消毒薬)

処理を終えた処理水を消毒する為の物です。すなわち、浄化槽の放流水は、河川に放流されるので、処理水に含まれる大腸菌などの菌を殺菌し、処理水を安全に河川に放流する為になくてはならないものです。残留塩素濃度を測る事で消毒薬がきちんと作用しているかを計測します。適正に使用、管理されている浄化槽では大腸菌等はある程度減りますが、消毒剤は安全のための最後の砦と言える為、消毒剤を切らせる事は出来ないのです。(右写真)

残留塩素
残留塩素

4.処理方法

活性汚泥の場合

活性汚泥の沈降性を見るためのSV計

ばっ気槽混合液を30分間沈殿させた時の汚泥沈殿率をSVという(②写真)

計測開始時

 ➀計測開始時 

30分後の計測時

 ②30分後の計測時 

Ⅰ活性汚泥法

活性汚泥は細菌、原生動物、後生動物など多様な生物の集まっている(フロック)集合体です。これら微生物が汚水を酸化分解または吸収分離することで汚水を浄化するものです。
活性汚泥法は生物膜法と違い調整、管理や汚泥コントロールが難しく、常に一定量の汚水流入がないとすぐに不調になってしまいます。この為、一般家庭の合併浄化槽ではほとんど使われていない方式です。ですが、単独浄化槽でブロワーモーターが使用される(強制的空気の送風による微生物への酸素供給と撹拌作用のため)ようになった初期型の全ばっ気式や分離ばっ気式などでは、この方法を用いています。今現在この活性汚泥法が使用されている浄化槽は500人槽を超えるような大型浄化槽に多く見られます。
この方法を発展させた膜分離活性汚泥法というものがあります。こちらは家庭用浄化槽にも使用されています。

Ⅱ生物膜法

①、生物膜とは活性汚泥のように水中に常に浮遊している状態ではなく、接触材の表面上で好気性の細菌類が膜状に付着している生物群の事です。汚水処理能力の向上や活性汚泥では保持できない増殖速度の遅い(増殖しにくい)硝化菌も保持されやすい特徴があります。

ただし、生物膜が繁殖しすぎると、接触ろ材の間に嫌気性菌が多くなり、臭気の発生や汚水処理能力の低下が起こるので、定期的に逆洗を行い生物膜を剥離させる必要があります(写真参照⑫イ、ロ、ハ)。活性汚泥法に比べて維持管理は容易です。この為、ほとんどの浄化槽に使われている方式です。

生物膜法
生物膜法
生物膜法

(イ)常時ばっ気の状況

(ロ)接触材に付着していた

生物膜を剥離させた状況

(ハ)弊社では剥離後の分離した生物膜を凝集させて処理を行った後の状況

②、生物の多様化による汚泥発生量の低減
膜がある程度繁殖してくると、酸素の届かない嫌気部が出来るため嫌気性菌が繁殖します。この為、生物循環(食物連鎖)が起こり、活性汚泥よりも汚泥発生量が少なくなるのも生物膜法のメリットといえます。

Ⅲ担体ろ床法(担体ろ床生物ろ過方式)法

最近の担体ろ床式浄化槽は、前述の活性汚泥法と生物膜法の両方の利点を利用して水処理を行う方式です。
以前の浄化槽と比べ、全体的な容量が小さいのが特徴です。設置場所の縮小化や、浄化槽の本体価格と工事料金の低価格化のためですが、浄化槽は微生物の力によって汚水を処理するので、ある程度の滞留時間と場所、容量(大きさ)が必要となります。この為、担体ろ床を使いばっ気槽を小さくした分の微生物量を確保し、さらにばっ気槽の後に生物ろ過槽をつける事によって処理能力を確保しています。
しかし、これによってブロワーの仕様変更(タイマーによる自動逆洗切り替え装置の付いた二本口)によるコストアップや、二つの方式の欠点が同時に出るための処理能力の著しい低下。これに伴って、ろ過槽の閉塞や臭気の発生、ひいては汚泥流出もしくは不完全な処理水流出の可能性があります。
そのため、この方式では適正な浄化槽の使用法(日常の生活様式、ex.塩素系の洗剤使用を控える、温泉の元を入れない、微生物によって処理困難なもの、オムツ、生理用品等は流さない)が必要であり、また、良好・適正な維持管理がより必要となります。

お問い合わせ

有限会社北群馬衛生社

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